ソフトハウスing

東京から福島県川内村に家族で移住したのは、平成8年の8月。
毎日の暑さにぐったりとなっていた私たち一家にとって、
山奥の木々の間を吹き渡る涼しい風が、なによりの癒やしでした。
1ヶ月後には家族も増え、牧歌的な風景の中で、だんだんと田舎の暮らしに慣れていきました。

どんな田舎でも暮らしていけると感じたのは、インターネットが普及し、通信インフラの整備によって、都会と田舎とのさまざまな格差が少なくなってきたからです。
豊かな自然環境で暮らしながら、テクノロジーの恩恵を受けられる。

都会で育ったわたしたち家族を温かく受け入れてくれた村の方々に感謝したいと思って、
無口ではにかみ屋の多い地元の方にかわって、川内村の魅力を伝えようといろいろなメディアに出たり、情報を配信したり。
豊かな里山文化をもっている川内村には、たくさんの魅力的な風景、人、歴史がありました。

そんな暮らしが一変したのは、やはりテクノロジーによってのこと。
2011年3月11日、福島県川内村は東日本大震災によってひきおこされた福島第一原発事故により、私たちの家は避難しなければならない場所になってしまいました。

事故を起こした原発から22キロにある我が家は、現在、除染作業によって低線量に保たれています。
しかし、海沿いに広がる町にいた、私たちの大事なお客様たちは今もなお避難生活に苦しみ、生活の再建に追われています。
私たち自身もこれからどうなるのか、不安と絶望にさいなまれながら、新しい土地で暮らしています。

いつか、もう一度、川内村に帰ろう。
第二のふるさととして選んだ、約束の土地が、川内村なのです。
どこに暮らしていても、わたしたちのふるさとは、山奥のちいさな、そして自然の恵み豊かな村。
人々の暮らしがはるか昔から続いていた、川内村しかありません。

どうか、皆様、お元気でお過ごしください。
そして、福島県川内村をよろしくお願いいたします。

福島県双葉郡川内村上川内早渡132-1
ソフトハウスING 市川裕・市川恵子